「天衣無縫」の意味と由来とは?読み方や英語、天真爛漫以外の類語について

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あなたは「天衣無縫」という言葉を聞いたことがありますか?
私は最近「あなた天衣無縫なのね」と言われたことがあって初めて知ったのですが、なにせ初めての経験で最初はどういう意味か全く分かりませんでした。
文字から入った場合、読み方もあいまいで分かりにくい言葉ですよね。
この記事では、「天衣無縫」の意味や由来、英語・類義語や使い方の例文をご紹介します。

 

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「天衣無縫」ってどんな言葉?まずは基礎から

初めて「天衣無縫」という言葉を見る人にとっては、何のことやらチンプンカンプンだと思います。
でも、知れば知るほど身近に感じられる言葉なので、安心して読み進めていってくださいね。

「天衣無縫」の読み方

「天衣無縫」は「てんいむほう」と読みます。
「衣」「縫」という漢字があるので、どうやら服とか着物とかに関係がありそうな言葉ですよね。
一体どういう意味なのでしょうか。

「天衣無縫」の意味

「天衣無縫」という言葉には、大きく分けて2つの意味合いがあります。
「天衣無縫」には、詩歌や文章にわざとらしさがなく、素の美しさが反映されている様子を表す」「人の性格が天真爛漫である」という意味があります。
天真爛漫というのは「無邪気で憎めない」「明るく純真」などの意味があり、天衣無縫も同じような意味合いを持っています。「人の在り方やたたずまい、性格などがとても自然で、むやみに飾り立てたりとりつくろったりしていない様子」を表している言葉なのですね。

「天衣無縫」の由来

では、「衣服」と「人の在り方」という、一見あまり関係のないような事柄がどうして関連付いたのでしょうか。
元をたどっていくと、「霊怪録」という書物にたどり着きます。
この中の一説に「天衣無縫」の由来となったお話がありました。
『昔、ある少年が庭で寝ていると、空から天女が舞い降りてきました。
少年が天女を見ているうちに、ひとつ不思議だと思ったことがあります。それは「天女がまとっている服には縫い目がない」ということ。
なぜだか理由を聞いてみると、「天界の人がまとう天衣は、もともと針と糸で縫って作ったものではない」と言ったのです。』

自分の服に穴が開いたり破れたりした時、その穴を「繕う(つくろう)」ことによって穴をふさいで修理しますよね。
「繕う」という言葉には、「破れたり壊れたものを直す」という意味の他に「第三者から見られた時に感じよく映るよう、体裁を整える」という意味があります。
その場を何とか取り繕う、といった文章で使われる時は、後者の意味で使われているケースです。

「天衣無縫」という言葉上では、逸話上の「衣服を繕う」ということに「体裁を整える」という意味での「繕う」を映し出して、縫い合わせてできた衣服は繕ってできたものと捉えています。
すなわち、縫い合わせてできた衣服を何かしら飾り立てられたり手が加えられたものの象徴として描くことによって、縫われていない衣服を「素の美しさを備えたもの」と表しているのです。それだけ天界の衣服は取り繕う必要がないほど見事に美しい、と言っているのです。
どれだけ美しい衣類なのか、一度は目にしてみたいものですね。

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「天衣無縫」の英語・類義語

「天衣無縫」の英語表現

また、英語で「天衣無縫」と言いたい場合は以下の表現を使います。

  • to be natural and flauless
  • perfect beauty with no trace of artifice

「natural」は自然にという意味で、「flawless」は完璧という意味です。つまり「自然体で完璧なさまでいること」という意味です。
「trace」は足跡・痕跡という意味で、「artifice」は企て・術策という意味です。つまり「なんのたくらみもない完璧な美しさ」と訳すと自然な日本語になります。

「天衣無縫」の類義語

天衣無縫と同じような意味に「天真爛漫」という言葉がありますが、その他にも以下のような類義語があります。

  • 天真爛漫(てんしんらんまん)
  • 純真無垢(じゅんしんむく)

「天真爛漫」は「飾ったり気取ったりせず、自然のままの姿であること」や「生まれたままの素直な心を持っていること」という意味です。
「純真無垢」とは「一片の曇りもなく、邪な気持ちが全くない心」という意味です。
どちらも性格上の天衣無縫さを言う時に使う類義語であり、透き通った心の持ち主に向けて用います。

「天真爛漫」と「純真無垢」の記事は、こちらをご覧ください。

「天真爛漫」の意味とともに英語や類義語表現を身につけよう

「純真無垢」の意味とは?使い方の注意点と例文!

 

「天衣無縫」の使い方

では「天衣無縫」という言葉を使うとどのようになるか、例を挙げていきます。

【例文】

  1. 「彼女は幼稚園の中でもダントツで天衣無縫な子どもである」
  2. 「やはり人間国宝の作品とあって天衣無縫この上ないな。感動して涙がでるよ」
  3. 「彼女の天衣無縫な性格に部署のみんなが癒されている」
  4. 「この詩は他に類を見ない天衣無縫な秀作である」
  5. 「彼の文章は、彼の人間性がそのまま表れているような天衣無縫さが備わっている」

「天衣無縫」は、主に無邪気な人に対して使います。
行動の前後が無策で、且つ打算的でない人に「天衣無縫な」と形容詞であったり、「天衣無縫さ」と名詞として使われることが多いですね。

まず注意すべきは『誰に向かってこの言葉を投げかけるか』ということです。
目上の人、年上の人にこの言葉を投げかけてしまうと「年長者なのに子どもっぽいのね」と皮肉っぽく聞こえてしまう場合がありますので要注意です。こちらが褒めているつもりでも、相手からするとそう受け取られない場合があるので気をつけましょう。

 

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美しい言葉を使ってみよう

天衣無縫という言葉について紹介してきましたが、いかがでしたか?
「天界の人がまとう衣服には縫い目がない」という話から生まれた表現とあって、褒め言葉にうってつけの四字熟語ではないでしょうか。
自分がもし「君は天衣無縫な性格だね」と言われることを考えるだけでつい嬉しくなってしまうほど、「天衣無縫」という言葉自体に美しさがありますよね。
美しい言葉を使いこなせるようになれば、人間性も合わせて美しくなっていく気分にもなりますね。
まずその手掛かりとして、「天衣無縫」という言葉を使ってみてはいかがでしょうか。

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