「知勇兼備」とは?意味と語源、使い方の例文【類義語と英語表現】

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何か行動を起こす前に頭で考えることは、ほとんどの人が行うことです。

しかし、考えるだけで行動に移さない人もいるでしょう。すべての人が行動するとも限りません。上手く行きそうなことも考えただけで行わない、頭で妄想するだけという人もいます。

また、ほとんど考えなく衝動的に行動する人もいます。ポッと思い付き、すぐに行動に移す人、先の結末をあまり深く考えない人もいるでしょう。

どちらが良い悪いという訳ではありません。しっかり考えるも、思いつきで行動するも、どちらも良い方向に行くことがあるからです。

もちろん悪い方向に行くこともありますが、「知勇兼備」の人は良い方向に行くことが多いのかもしれません。

この記事では、「知勇兼備」の意味や語源、使い方の例文、類義語や英語の表現をご紹介します。

 

 

 

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「知勇兼備」の意味と語源

 

「知勇兼備」の意味

 

最初に、「知勇兼備」の意味をご紹介します。

まずは読み方ですが、「知勇兼備」は「ちゆうけんび」と読みます。

「知勇兼備」とは、「知恵も勇気も兼ね備えている」という意味で、そのような人のことを表わしています。

「智勇兼備」と書くこともあります。

 

 

「知勇兼備」の語源

 

続いて、「知勇兼備」の語源をご紹介します。

 

古代中国にあった趙(ちょう)という国の藺相如(リンショウジョ)という人物を、司馬遷が著書「史記」の中で褒めたたえたところから出来た言葉です。

藺相如のエピソードをひとつご紹介します。

「和氏の璧(かしのへき)」という玉があり、和氏という人が発見しました。歴代の楚(そ)の王に何度か原石を献上するものの二度も「ただの石」だと嘘つき呼ばわりされ、左右の足を切断されましたが、文王の時に改めて原石を磨いたところ高価な玉として光り輝いたのです。文王は玉に和氏の名前を付けました。

その玉が時を経て趙の恵文王(けいぶんおう)の手に渡ります。秦(しん)の昭襄王(しょうじょうおう)が、自国の15の城とその「和氏の璧」を交換しようと言ってきました。しかし、昭襄王が本気で城と交換しようと言っているわけがないと恵文王は見抜き、適任な交渉役がおらず困っていたところ、藺相如が『自分が行ってきましょう』と、秦へ向かいました。

藺相如は秦の昭襄王と会い玉を渡しましたが、昭襄王は周りの人に玉を見せびらかすだけで一向に城の話が出てきません。

そこで藺相如は「小さい傷があるのです。お教えしましょう」と近寄り、玉を奪い返してそのまま柱の下まで走りました。

そして、藺相如は「趙の王(恵文王)は玉を渡す前に、秦の王(昭襄王)に敬意を払い五日間身を清められた。しかし、秦の王(昭襄王)はどうだろう?気軽に玉をもて遊び、あまりにも非礼な振る舞いではないか?」と、頭の冠も飛び上るほど髪を逆撫で凄まじい怒りで「私を殺すがよい。そうなればこの玉も柱もろとも壊れてしまうだろう」と藺相如は言ったのです。

秦の王(昭襄王)は、「待て待て。言うとおりにしよう」といって、五日間身を清めるふりをしました。藺相如は、その隙に玉を趙へ返してしまいます。玉はひとつの傷も無く完璧な状態で返されました。

騙された秦の王(昭襄王)の部下は怒り藺相如を殺そうと言いましたが、昭襄王は藺相如を殺さずに帰したのです。その理由はこの人間を殺しても玉は手に入らない。ならば殺さずに帰して、趙に恩を売っておこうということでした。

この話から、藺相如は知性と勇気のある者と言われたのです。

 

余談なのですが、この話の中にいくつかの故事成語があります。「和氏の璧(和氏之璧)」は「滅多に手に入らないもの。また真実を言う難しさ」のこと、冠が飛び上がるくらいの怒りは「怒髪天」、玉を完璧な状態で戻した「完璧」の元となった「完璧帰趙」です。

 

 

 

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「知勇兼備」の使い方

 

次に、「知勇兼備」の使い方を例文でご紹介します。

【例文】

  1. 「彼の祖先は知勇兼備と称された武将だったらしいが、彼にはそのような素振りがちっともない」
  2. 「知勇兼備な旦那は沢山の人に頼られ、忙しそうにしている」
  3. 「父は職場で知勇兼備に振舞っていたけれど、家に帰るとただのおやじだ」
  4. 「課長は知勇兼備で部下に頼られるが、面倒な仕事を沢山押し付けられている」
  5. 「知勇兼備といわれる知性があり、勇敢な男性は数少ない」

 

「知勇兼備」は、主に男性を表すことが多い言葉です。

「知勇兼備な(男)」「(彼は)知勇兼備だ」などと使われることが多いですね。

 

 

 

「知勇兼備」の類義語と英語表現

 

「知勇兼備」の類義語

 

それでは、「知勇兼備」の類義語をご紹介します。

  • 知勇弁力(ちゆうべんりょく)
  • 高材疾足(こうざいしっそく)
  • 才色兼備(さいしょくけんび)

 

「知勇弁力」は、「知恵と勇気をもって適正に物事を判断し、処理するひと」という意味です。知恵と勇気があっても経験が少なければ適正な判断はできませんので経験値の高い人がこのように呼ばれるようです。

「高材疾足」は「優れた才能で敏腕なひと」という意味で、「知勇兼備」の人を表わしています。「高材」は「優れた才能」を表わし、「疾足」は「足が速い」という意味です。

「才色兼備」とは、「才知・能力・容姿・兼ねて備えている」=「全ての分野において優れている」という意味です。「知勇兼備」が男性に用いられるのに対して、「才色兼備」は女性に用いられます。

 

「才色兼備」については、こちらの記事に詳しく書いています。

「才色兼備」の意味や女性への使い方は?英語表現や男性用の類義語について

 

 

「知勇兼備」の英語表現

 

最後に、「知勇兼備」の英語表現をご紹介します。

  • having both wisdom and courage(知勇兼備)
  • Wisdom and courage(知勇)

 

【例文】

  • Her husband is the person who is wisdom and courage combination(彼女の夫は、知勇兼備な人だ)
  • The person who is wisdom and courage combination is envious(知勇兼備な人が羨ましい)

 

「Wisdom」は「知恵」、「Courage」は「勇気」です。「Having both」は「兼ね備えている」という意味になります。「Wisdom and courage」だけで「知勇兼備」と表すことができます。

 

四字熟語の英語表現を、ビジネス場面別でまとめてみました。

ビジネス英語として実践で使える四字熟語30選【英語勉強アプリもご紹介】

 

 

 

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まとめ:「知勇兼備」は人間の基本

 

以上、「知勇兼備」についてご紹介してきました。

まとめると、以下の通りです。

 

読み方 ちゆうけんび
意味 知恵も勇気も兼ね備えている
語源 中国の故事より、高価な玉を敵国に渡すことなく知恵と勇気をもって無事に帰ってきた藺相如という人物を褒めた言葉から。
類義語 ・知勇弁力(ちゆうべんりょく)
・高材疾足(こうざいしっそく)
・才色兼備(さいしょくけんび)
英語表現 ・having both wisdom and courage(知恵と勇気の両方を持っている)
・Wisdom and courage(知恵と勇気)

 

「知勇兼備」は、知恵と勇気を両方供え尚且つ上手に使うことが出来る人です。

知恵だけでも勇気だけでもダメです。

すごい人のようですが、頭で考え行動に移す、普通の人でも考え行動するということは人間の基本的なことだと思います。

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