Contents
この記事は、約8分で読むことができます。
突然ですが、あなたは自分の”運を賭ける”ほどの勝負に出たことはありますか?
“運を賭ける”ほどの勝負に出くわすということは、それ相応の問題に直視しているということになりますから、そんな場面にはできれば遭遇したくはありませんよね。
でも、人生の岐路に立たされる時になれば、『一か八か』という気持ちにはなると思います。全力の努力だけで良い方向に向かえばいいのですが、そうではない時はやはり”運試し”になりますね。
そんな時に使うのが、今回ご紹介する「乾坤一擲」です。
では、この「乾坤一擲」はどんな意味や由来のある言葉なのでしょうか。また、使い方なども気になるところですね。
この記事では「乾坤一擲」の意味や由来、英語・類義語表現や使い方の例文についてご紹介します。
「乾坤一擲」の意味や由来とは
「乾坤一擲」の意味
「乾坤一擲」を予備知識がない状態で読むのは非常に難しいことですよね。
そこでまず読み方ですが、「乾坤一擲」は「けんこんいってき」と読みます。
読み方が分かったところで、どういう言葉なのか想像するのもなかなか難しいもの。
「乾坤一擲」は四字熟語の中でも難易度の高い言葉の一つとして知られています。
「乾坤一擲」とは、「自分の運命をかけて、一世一代の勝負に出ること」「運を天に任せて勝負に出る」という意味になります。
では次に「乾坤一擲」を分解していきながら、漢字の意味とともにより深く理解していきましょう。
「乾坤一擲」の意味を理解するには、それぞれの漢字が持つ意味を知っておくことが肝心です。
- 乾:「天」という意味。まさに天国の天、ということ
- 坤:「乾」の反対の「地」という意味(「地上」「地面」ということ)
この二つの漢字によって「天地」という意味を作り出していて、「運命をかけて」つまり天(成功・勝利)か地(失敗・敗北)という運命をかけて、ということになります。
- 一:1回、一度という意味
- 擲:「投げる」という意味
あまりなじみのない言葉かもしれませんが、テレビで陸上競技の観戦をしているときに「やり投げ」や「ハンマー投げ」などの競技の解説者の言葉の中に「金メダルに向かって最後の投擲(とうてき)です!」というような言葉を聞いたことがありませんか?
この「投擲(とうてき)」と「一擲(いってき)」は同じ意味の言葉で、「投げる」ということなのです。
「一擲」という言葉は、その中でも「サイコロを振る」という意味を持った言葉です。
「投げる」という意味から派生してできたので、どちらも覚えておくと印象に残りやすいでしょう。
さて、これで「乾坤一擲」が「天地をかけてサイコロを投げる」という意味になりました。
「天」と「地」なんて大規模なものを賭けているにしては、「サイコロを投げる」ことでその勝敗を決めるなんてまさに大勝負ですよね。
ということで、「運命をかけて一世一代の勝負に出る」という意味になったのです。
「乾坤一擲」の由来
「乾坤一擲」とは、昔の中国「秦」という国を滅ぼした二人の英雄の話から生まれた言葉です。
その名も「劉邦」と「項羽」と言います。
彼らは秦という国を滅ぼしてなお、その後の覇権争いを続けていました。
しかしながらその戦いも、天下を二つに分けようという取り決めによって停戦を迎えたのです。
これによって、多くの人々の命も救われ、戦いも終わるはずでした。
しかし、天下二分の取り決めが行われたにもかかわらず、劉邦の部下が「きっと項羽の軍は疲弊しているに違いない。
天下二分で退陣している項羽軍を追撃しよう!」と言い実行したのです。
これにより項羽軍は滅ぼされてしまいました。
本来ならば停戦したのですから、追撃なんてもってのほかです。つい最近まで争い合い、勝敗がつかなかった相手なので勇気のいる選択だったでしょう。
必ず成功するとも限りません。
しかし劉邦は自分の運命をかけて追撃という大勝負に打って出たのです。
まさに「乾坤一擲」なお話ですね。
「乾坤一擲」の英語表現・類義語
「乾坤一擲」の英語表現は?
「乾坤一擲」を英語で表現すると、以下のようなものがあります。
- play for all or nothing(全てを得るか失うかのために実行する)
- throughing all into a task(ひとつの目的を果たすためにすべてを投じる)
このような英語表現が相応しいでしょう。
「乾坤一擲」の類義語
「乾坤一擲」の類義語といえば、下記のようなものが挙げられます。
- 一六勝負(いちろくしょうぶ)
- 一擲乾坤(いってきけんこん)
- 梟盧一擲(きょうろいってき)
「乾坤一擲」も「一擲乾坤」も、順番が逆なだけで同じ意味を示しています。
また、一六勝負の「一六」とは、サイコロの目を表しているんです。
このように、漢字と由来とを一緒に覚えると印象に残りやすいですね。
こちらの「運否天賦」も類義語になります。漢字を見るだけで「乾坤一擲」と似ていることがわかります。
「乾坤一擲」の使い方の例文
では、「乾坤一擲」の実際の使い方を例文を用いて学んでいきましょう。
- 「このプロジェクトは、わが社の存続がかかっている乾坤一擲な計画なんだ。失敗は許されないぞ。」
- 「敵が背後まで攻めてきている。乾坤一擲、立ち向かうしかない」
- 「あと1分で試合終了だ。全員で乾坤一擲の攻めに徹しよう」
- 「支持率の低下も激しいが、ここは乾坤一擲の精神で最後まで政策を推し進めよう」
- 「次の追試に落ちたら、留年だ。出題範囲に山を張る乾坤一擲の一夜漬けしかない」
乾坤一擲を使うコツとしては、窮地に陥った時の打開策、最後の一手を打つ、というような場面で使うと効果てきめんです。
「乾坤一擲の~」と、後に続く言葉には「精神」「計画」などと前向きな表現と合わせれば良いです。
追い込まれた時の最後の一手「乾坤一擲」
何か絶対に逃げられない追い込まれた状況の時に、今までに見たことのないような集中力を発揮できたり、自分でもビックリするくらい上手に物事を進められた、なんて経験が誰しもあるのではないでしょうか。
「乾坤一擲」とは、まさにその力と密接に関係しているように思います。
劉邦と項羽の話でも、きっと劉邦の軍も退陣している最中とはいえ今まで勝敗がつかなかった相手に最後の一手を仕掛けるなんて一世一代の賭けだったでしょう。
でも己の力を信じて、勝利を掴んだのですね。
何ごとも最後まであきらめず、しっかりとやり抜くことが大事だということが「乾坤一擲」という言葉から分かりますね。
コメントを残す