とてもメジャーな四字熟語のひとつ「本末転倒」。
誰もが一度は耳にしたり使ったことがあると思いますが、この言葉がどういう風な成り立ちでできたものなのか、詳しくは知らないというケースもあるのではないでしょうか。
この記事では、「本末転倒」の意味や語源、英語・類語表現や例文による使い方をご紹介します。
Contents
「本末転倒」の意味と語源

何となく意味は分かっている人も多い言葉だとは思いますが、まずは意味からご紹介していきましょう。
「本末転倒」の意味とは
その前に、本末転倒の読み方は「ほんまつてんとう」と読みます。
「本末転倒」とは、「根本的な事柄と些細な事柄、大切なこととつまらないことを取り違えること」という意味です。「本筋から外れて、関係がないことがいつの間にか目的になってしまっている」という風にも表現できるでしょう。
本当に大事なことがあるのにその他のことをやっているうちにそちらに夢中になってしまって、気が付いたら本当に大事なことの方を後回しにしてしまっていたり、放置してしまっていたりという時に使える言葉ですね。
「本末転倒」の語源
この言葉は、大きく2つのパートに分けることができます。
- 本末
この「本末」という部分は、漢字それぞれに意味があります。
・本・・・はじめ「お寺でいう本山(最初に立てた寺)を指します。もっとも重要な建立物と言えます。」
・末・・・おわり「末寺と言って、本山の支配下にあるお寺の事を言います。」
この二つの意味合いから、「本」が根本的に大切にすべきもの、「末」はそうでないものを示しています。
- 転倒
上述の「本末」(大事なものとそうではないもの)が転倒する、つまりひっくり返るという意味で「転倒」という言葉が使われています。本来の優先順位が逆さになってしまうという意味ですね。
ちなみに「転」という漢字がメジャーではありますが、この漢字は「顛」という漢字でもOKです。
その昔の鎌倉時代に「本山の寺院と末端の寺院の立場が逆転してしまったという出来事」が由来となって、本末転倒という言葉が生まれたのです。
「本末転倒」の英語や類語とは?

「本末転倒」の英語表現
もちろん英語圏の国にお寺はありませんよね。どういった言い回しがされているのかというと、
- put the cart before the horse(馬の前に荷馬車を持ってきてしまう)
ここでいう「cart」は荷馬車・「horse」は馬という意味です。
この表現が最も本末転倒という言葉に近いと言えるでしょう。
この他にも、
- misplace one’s priorities
という表現があります。
- misplace・・・置き場を間違える
- priority・・・優先順位
という意味なので、これは比喩的な表現というよりも直接的に「本末転倒」という四字熟語の意味を反映した英語表現と言えるでしょう。すなわち「優先順位の置き方(つけ方)を間違える」という意味になりますね。
「本末転倒】の類義語とは?
- 主客転倒(しゅかくてんとう)
- 冠履転倒(かんりてんとう)
などが同じ意味を表す四字熟語として挙げられます。
1.も2.も「転倒」の部分は共通して「逆転する」という意味で使われています。
そして1.の主客では、「主」が主人、「客」が客人と正反対のものを示していたり、2.の冠履では「冠」は頭の装飾である「かんむり」で「履」は靴を指しており、どちらの場合も正反対のものを示した上でそれが逆転するという意味合いを表現しています。
「主客転倒」は「本末転倒」とよく似ていますので、是非こちらの記事をご覧ください。
「本末転倒」の使い方
では、実際に本末転倒という言葉を使いたい時の例文を紹介していきます。
【例文】
- 「学生でありながら週に5回もアルバイトに勤しむなんて本末転倒だ。」
- 「宿題を提出するのが目的になって肝心の勉強内容は頭に入っていかない…これが本末転倒ということか…。」
- 「作業の効率化のために導入したソフトの使い方が分からなくて結局時間がかかっているこの状態はまさに本末転倒である。」
どの例文も“本来あるべき姿ではない”ということが確認できますね。
「本末転倒」にならないような工夫を
重要なこととそうでもないことが逆転することって、時々ありますよね。
しかも意外とその最中はそれに気が付いていなくて、時間が経ってから何となく「ああ、あれって本末転倒だったな…」と気づくなんていうこともしばしばあるのではないでしょうか。
元々の達成すべきことをちゃんと成し遂げるために、最初に計画を立てて順序よく物事をすすめていきたいものですね。
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