「一衣帯水」とは?意味や語源、例文による使い方【英語と類語】

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昨今、国交が断絶している国のトップが会談や握手をしているシーンなどを観ることがあります。あの場面を観ると「仲良くなったのかな?」「建前だけでアピール?」と首をかしげてしまいます。メディアやスポーツにおいて仲の良さを思わせる反面、政治では物騒なニュースが流れたりしてどちらが本当か戸惑うこともありますね。
この記事では、曖昧な表現した言葉である「一衣帯水」について意味や英語・類義語、使い方の例文をご紹介していきます。

 

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「一衣帯水」の意味は?語源は?

あまり耳にしない「一衣帯水」ですが「いちいたいすい」と読みます。同じ仮名が並ぶと早口言葉のようで四字熟語の面白さでもありますね。

「一衣帯水」の意味は?

「一衣帯水」とは「両者の物理的距離が近いこと、両者の関係が深いこと」という意味です。
もともと中国南北朝時代に李延寿によって成立した南朝の歴史書・陳後主紀も記された「我為百姓父母、豈加限一衣帯水、不拯之乎」という話の意味からできた言葉です。
漢字の並びから見ると意味と結びつかないと感じるのも四字熟語の深さなのかもしれませんね。

「一衣帯水」の語源

次に、「一衣帯水」の語源を見ていきましょう。

  • 「一」・・・「ひとつ・個体」という意味
  • 「衣帯」・・・「衣服の帯」という意味
  • 「水」・・・「川や海」という意味

中国の史書である「陳書」にある「我為百姓父母、豈加限一衣帯水、不拯之乎」を現代語に訳すと、「私は、民衆の親の立場にあって、どうして揚子江に隔てられているからと言って、その民を救わないでいられないでしょう。」という意味になります。
陳の皇帝は悪政を行ったうえに贅沢三昧に溺れたおろかな皇帝であった為、民衆は飢えと貧困に苦しみました。その様子を揚子江を挟んだ北朝の隋の皇帝は、南朝に攻め入って民衆を救おうと決意して言ったときの言葉です。
攻めることが仲が良いのかと不思議な気もしますが、狭い川を挟んだ近い距離で助けるというところから「一衣帯水」の意味となりました。

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「一衣帯水」を英語・類義語で表現してみましょう

「一衣帯水」の英語表記

「一衣帯水」を英語で表現すると以下のようになります。

  • Narrow strip of water
  • narrow strait

【例文】

  • the two countries are separated by only a narrow strait.(両国は一衣帯水の距離にあります。)

「narrow」は「狭い」、「strait」は「海峡」という意味なので二つの言葉を合わせると「一衣帯水」に近い意味になります。たとえ狭くても海峡といえば広いものと連想しますが、国同士の距離にすれば緊密な距離であることは表現できるでしょう。

「一衣帯水」の類義語

次に「一衣帯水」の類義語にはどのようなものがあるのかみていきましょう。

  • 衣帯一江(いたいいっこう)
  • 一牛鳴地(いちぎゅうめいち)
  • 衣帯之水(いたいのみず)

「一衣帯水」と似ている漢字の並びが多いですが「一牛鳴地」のように「牛の鳴き声が聞こえるくらい近い距離」という意味は「一衣帯水」よりもわかりやすく庶民的な表現ですね。

「一牛鳴地」の記事はこちらをどうぞ。

 

「一衣帯水」の使い方

それでは「一衣帯水」を使った例文をご紹介していきます。

【例文】

  1. 「中国と日本は一衣帯水の隣国であり、歴史・文化のつながりも深いです。」
  2. 「隣県とは一衣帯水、困ったときは助け合わないといけません。」
  3. 「一衣帯水の隣国であり、様々な分野において密接な交流が行われています。」
  4. 「社員一人一人が一衣帯水の関係であることを意識して仕事に取り組みましょう。」
  5. 「これからは一衣帯水の関係の二社が先頭に立って、業界を繁栄させていきましょう。」

国同士の関係に使うことが多いですが、ビジネスシーンにおいて社員や会社の意識を高める言葉として使うことが出来ます。

 

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受け継がれる言葉の本質にふれて

ここまで「一衣帯水」について解説してきました。
隔たりはあるけれど親密な関係と言われると曖昧でしたが、たとえ隔たれた環境にあっても隣同士仲良くしていこうという思いのこもった言葉であることがわかります。
古代中国の皇帝が敵国であっても飢えに苦しむ民衆を助けなければならないと奮起した行動が「一衣帯水」という四字熟語を生み出し、現代まで受け継がれていることは人間関係の大切さを伝えているのでしょう。

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