Contents
この記事は、約6分で読むことができます。
あなたは「曲学阿世」という言葉をご存知でしょうか?
字を見た限りでは、音楽に関しての四字熟語なのかな?と思いませんか。「曲学」が音楽のことだったとして、「阿世」ってなんだろう?お経のひとつかな?とも思ってしまいますね。意味も読み方もよく解りませんね。
「お経のような歌」のことか「「歌のようなお経」でしょうか。はたまた全く違った意味なのでしょうか。
この記事では「曲学阿世」の意味や語源、英語・類義語の表現や使い方の例文をご紹介します。
「曲学阿世」の意味と語源
「曲学阿世」の意味
それでは「曲学阿世」の意味をご紹介します。
ところで「曲学阿世」の読み方ですが「きょくがくあせい」と読みます。
「曲学阿世」とは「学問の真理(しんり)をねじ曲げて世の人の気に入るような説を唱え、時勢に投じようとすること」という意味です。
「曲学」とは「学問の変わることのない正しい物事の筋道を曲げること」という意味で、「阿世」とは「世の人に、こびへつらうこと」という意味です。
「曲学阿世」は学問上の事実を情報操作して世の中に伝えてしまうことを表した言葉です。
「曲学阿世」の語源
続いて「曲学阿世」の語源をご紹介します。
中国の歴史書「史記」の「儒林伝」に記されたお話のひとつです。
漢の皇帝、武帝(ぶてい)が賢く正しい人材を広く求めた際、轅固生(エンコセイ)という90余歳の老人と儒学者で30歳に満たない青年の公孫弘(コウソンコウ)という人物が召し出されました。青年の公孫弘は、轅固生おじいさんを横目でちらちら見て「老いぼれがどうしてここに・・・」と思ったようです。轅固生おじいさんは青年の公孫弘に「公孫子、正学を務めて以て言え、曲学以て世に阿る無かれ」と言いました。
意味は「公孫子くんよ、今、世の中は正しい学問が伝えられず、俗説が流行っている。このままでは正しい学問が消えてしまうかもしれない。君はとても若いし優秀だと聞いた。なので、正しい学問を学んで、はばかることなく有りのままのことを皆に伝えなさい。学問を曲げて、世に媚びるべきではない」ということです。
青年の公孫弘は、轅固生おじいさんを「老いぼれ」と馬鹿にしたことをとても恥じて、轅固生おじいさんに弟子入りしました。
このお話の「曲学以て世に阿る」が「曲学阿世」という四字熟語になったのです。
学者と名乗る人は、学問で得た知識を都合の悪い部分だけ隠して、良い事だけを世間に伝えてはいけないということです。
「曲学阿世」の英語表現と類義語
「曲学阿世」の英語の表現
次に「曲学阿世」は英語でどのように表現されているのかご紹介します。
- twisting the truth and truckling to the times(曲学阿世)
「twisting the truth」は「真実をねじ曲げる」、「truckling」は「(へりくだった様子で)従う」こと、「to the times」は「ご時世、時代」です。
【例文】
- twisting the truth and truckling to the times prostitution of learning(真実をねじ曲げ、時世に媚を売る)
「曲学阿世」は英語だと学問のことだけを表す言葉ではなく、様々な物事の真実に対して使用します。
「曲学阿世」の類義語
「曲学阿世」と似た意味や構成を持つ言葉をご紹介します。
- 阿世曲学(あせいきょくがく)
- 陣笠連中(じんがされんちゅう)
「阿世曲学」とは「曲学阿世」と同じ意味を持ち、二語が逆転しているという違いで語源も同じですが、吉田茂元首相が在任中に「曲学阿世の徒」と発言したことから「曲学阿世」という四字熟語が広まったので、使用頻度は「曲学阿世」の方が高いです。
「曲学阿世」の使い方
最後に「曲学阿世」の使い方を例文でご紹介します。
【例文】
- 「この薬はもっと大変な副作用があるはずなのに、曲学阿世ではっきりと発表しない」
- 「曲学阿世なことをしていれば、世の中の美しい言葉もいつかはねじ曲げられてしまう」
- 「原発が安全なんて曲学阿世もいいところだ」
- 「高学歴の記者は頭脳が明晰な故、曲学阿世なことも平気でし、真実を隠す記事を書く」
- 「すべての学者を信用してはならない。なぜなら自分の保身のために曲学阿世のことばかりしている者もいるからだ」
例文のように「曲学阿世」とは、学問におけることで都合のいい部分を言って世の中に媚びを売っている人に対して批判する場合に使用されることが多いです。
学問をねじ曲げた時にだけ使用できる
「曲学阿世」とは「学問について」と、使用できる場面がかなり限られます。
「学問」とは「学び習うこと、学校へ通ったり、先生についたり、本を読んだりして、知識を学習すること、身につけた知識」ということです。
コメントを残す