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例えば、何かとても大変な仕事や大きなプロジェクトを無事に終えた時、「本当に大変だったよ」などの普通の言葉ではなく、「櫛風沐雨の日々をなんとか乗り越えたよ」なんて、かっこよく言ってみたいもんですね。
よく私の会社の社長が、会社を設立するまでの日々を「櫛風浴の日々だった」と表現するのですが、この言葉を言える人って、人一倍苦労して頑張ってきた人なんだろうなととても尊敬します。だからこそ、私もこの言葉をサラリと言えるような大きな人間になりたいと思ってしまうんですよね。
ところで、「櫛風沐雨」の意味ってご存知ですか?
この記事では「櫛風沐雨」の意味や語源、英語の表記や類義語、使い方の例文をご紹介します。
「櫛風沐雨」の意味と語源
「櫛風沐雨」の意味
はじめに、「櫛風沐雨」の意味についてご紹介したいと思います。
まずは読み方ですが、「櫛風沐雨」は「しっぷうもくう」と読みます。
「櫛風沐雨」とは「雨風にさらされながら、奔走する」という意味です。
つまり、「いろいろと苦労をすること」や「困難な状況でも頑張ること」を表した言葉ですね。
「櫛風沐雨」の語源
次に、「櫛風沐雨」の語源についてご紹介します。
この「櫛風沐雨」は、もともと「荘子」に記された「甚雨(じんう)に沐(かみあら)い、疾風(しっぷう)に櫛(くしけず)り、万国(ばんこく)を置(た)てたり」という言葉からきています。これは「激しい雨や強い風にさらされながら国を建てた」という意味で、「苦労を例えた言葉」として使われていたものです。
ここからは、それぞれの漢字の意味についてご説明します。
まず「櫛風」の「櫛」という漢字ですが、これは髪をとかす「クシ」のことです。そして「沐雨」の「沐」は「水をかぶる」「髪や体を洗う」という意味があります。
なので、「櫛風」は「風で髪がけずられる」という意味になり、「沐雨」は「雨で髪が洗われる」という意味になります。
そして、この二つが組み合わさることで、「強い風や強い雨にさらされる」「強風や激しい雨にあって苦労する」という意味になりました。
ここで言う「強い風」や「強い雨」は、「突風」や「ゲリラ豪雨」など、とても激しいレベルのものだと考えた方がよさそうですね。
「櫛風沐雨」の英語表現と類義語
「櫛風沐雨」の英語の表現
続いて「櫛風沐雨」が英語でどのように表現されているのかをご紹介します。
- Life exposed to wind and rain(櫛風沐雨)
【例文】
- Days of life exposed to wind and rain(櫛風沐雨の日々)
- In a life exposed to wind and rain(櫛風沐雨の中)
「life」は「人生」や「生活」という意味で、「exposed」は「露出」「さらす」などの意味があります。「wind and rain」は「風と雨」という意味なので、「Life exposed to wind and rain」を直訳すると、「雨や風にさらされる生活」となりますね。
ちなみに、「櫛風沐雨」は「困難な状況」と訳されることも多く、その場合は「困難な状況」という意味の「Under going hardships」と表現されます。
直訳した言葉で表すか、その状況を表すかで表現が変わってくるんですね。
「櫛風沐雨」の類義語
次に「櫛風沐雨」と似たような意味をもつ言葉をご紹介していきます。
- 櫛風浴雨(しっぷうよくう)
- 風鬟雨鬢(ふうかんうびん)
「櫛風浴雨」も「風鬟雨鬢」も、「強い風や強い雨にもめげず苦労しながら働くこと」という意味です。「櫛風浴雨」の「浴雨」は「雨を浴びる」という意味で、「風鬟」の「鬟」は「まげ」、「雨鬢」の「鬢」は「左右側面の髪」という意味です。
どちらも「風」「髪」「雨」という共通点があるのが分かりますね。この共通点は「櫛風沐雨」にも当てはまります。「強い風や強い雨にもめげず苦労する」という部分も同じなので、これらの四字熟語は漢字だけでなく意味も似ていることになります。
こちらの「無我夢中」「一意専心」「昼夜兼行」も類義語と言えますね。
「無我夢中」の意味とは?英語や類語、例文や使い方のポイントをご紹介!
「一意専心」とは?意味や英語&類義語表現、使い方の例文をご紹介
「昼夜兼行」の意味や由来とは?使い方の例文や英語・類義語表現のポイント
「櫛風沐雨」の使い方
最後に「櫛風沐雨」の使い方を紹介します。
【例文】
- 「会社が成功するまでは、櫛風沐雨の日々だったよ」
- 「櫛風沐雨の中、よく頑張ったね」
- 「あの五年間は、本当に櫛風沐雨で大変だった」
- 「櫛風沐雨の苦労が報われるといいね」
- 「櫛風沐雨の努力あってこそだよ」
「櫛風沐雨の中」や「櫛風沐雨の日々」といった使い方をされることが多いので、参考にしてみてくださいね。
「櫛風沐雨」は苦労を表す言葉で、「櫛風沐雨の~」「櫛風沐雨で~」という風に、名詞として使います。
「櫛風沐雨」を動詞として使うことは間違いです。「櫛風沐雨する」「櫛風沐雨した」などの言い方はできないので注意しましょう。
文字を並び変えただけで違う四字熟語に変身!?
「櫛風沐雨」に似た言葉で「風櫛雨沐(ふうしつうもく)」と「沐雨櫛風(もくうしっぷう)」いう言葉があります。よく見ると使われている漢字が全て同じですよね。そうなると、もちろん漢字が持つ意味も一緒になるので、言葉の意味も全く同じになります。
どうして、同じ漢字を使った同じ意味の四字熟語ができたのか不思議ですよね。一説では、語源のところでご紹介した「沐甚雨櫛疾風」という言葉を「前から訳した」か「後ろから訳した」かなど訳す順番の違いでできた言葉だと言われたり、「風櫛雨沐」は間違いだ!などと言われていますが、実際にはハッキリ分かっていません。
一般的には「櫛風沐雨」の方が多く使われていますので、「櫛風沐雨」の方を使った方が無難かもしれませんね。
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