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「あの人は、石部金吉ですね。」
こう言われたとき、もしかしたら戸惑う人もいるかもしれません。
だれかの名前のようにも聞こえる「石部金吉」ですが、実は古くから使われている立派
な四字熟語です。
「石部金吉」という言葉は、いったいどんな場面で使われるのでしょうか？
この記事では「石部金吉」の読み方と意味や語源はもちろん、英語・類義語表現と使い方の例文をご紹介します。
「石部金吉」の意味や語源
「石部金吉」の読み方、意味
「石部金吉」は「いしべきんきち」と読みます。
「石部金吉」とは、「真面目で融通のきかない人物、実直だが頭が固い人」という意味です。
「石」も「金」も、非常に固い物の象徴です。二つ並べて、人の名前のようにすることで、まるで石や金でできているかのように頑固な人物であることを意味しています。
さらに意味を強調した表現に、「石部金吉金兜」という言葉もあります。
人の名前を模して熟語にするパターンは、他の言葉にも見られます。
例えば、身体がやせ細っている人は「骨皮 筋右衛門」と表すことができます。
頭の固い人物を「石部金吉」と名前のように表す発想は、ユーモアがありますね。
「石部金吉」の語源
「石部金吉」は、江戸時代から使われている言葉です。
江戸時代の歌舞伎「五大力恋緘（ごだいりきこいのふうじめ）」の一節に、「菊野さんは石部金吉」とあります。
また、同じく江戸時代に書かれた浮世草子「世間妾形気（せけんてかけかたぎ）」では、「いまだ四十に足らぬ人物なれども物堅きこと石部金吉にて、忠義専らの武士」と書かれています。
伝統と恩義を重んじる江戸時代の武士は「石部金吉」な人物として描かれたようですね。
「石部金吉」の英語表現と類義語
「石部金吉」の英語表現
「石部金吉」は、英語で以下のように表します。
- man of incorruptible character（真面目で清廉な性格の人物）
「Incorruptible」は、「腐敗しない、清廉な」という意味を表します。物が腐らない意味から転じて、潔白で実直な人を表すようになりました。
以下の例文のように使えます。
【例文】
- Gold is incorruptible metal.（金は腐敗しない金属だ。）
- Japanese people are incorruptible.（日本人は清廉潔白な性格だ。）
「石部金吉」は英語では好意的に表現されていますね。
「石部金吉」の類義語
「石部金吉」と類似した意味を持つ四字熟語は、以下の通りです。
- 四角四面（しかくしめん）
- 杓子定規（しゃくしじょうぎ）
「四角四面」とはルールと節度を保っている様、また真面目であり礼儀正しくかしこまっている人物を表す言葉です。真四角のように整っており、完璧である様子を指しますが、それゆえに堅苦しい印象を与える性格を示します。
「杓子定規」は融通をきかせず、どんなこともルールに沿って対処する様子を示します。杓子の柄は曲がっており、まっすぐに計ることはできません。本来ふさわしくないものを定規として使い、正確に計れないことから「杓子定規」という表現が生まれました。
こちらの四字熟語も「石部金吉」の類義語ですので、合わせてご覧ください。
「石部金吉」の使い方
それでは、「石部金吉」の使い方について例文をご紹介します。
【例文】
- 「いつも無口で、ルールにいつも従っている石部金吉である。」
- 「歌舞伎に登場する石部金吉は借金を取り立てる悪役だ。」
- 「彼は根っからの石部金吉で、色恋沙汰の噂を聞いたこともない。」
- 「石部金吉な公務員は、信用できる。」
- 「石部金吉な人でも、感情が乱れることはあるらしい。」
「石部金吉」は、主に人物の性格について表す言葉です。
また、「真面目で実直である」「浮気や借金、賭け事などをしない」という良い面を表すこともあれば、「頭が固く、融通がきかない」というネガティブな意味をもつこともあります。熟語が使われている文脈でどちらの意味なのか、判断しましょう。
時には柔軟な対応を
全体の秩序を重んじる日本人には、「石部金吉」な人が多いかもしれません。
規則やルールに従うことは大変重要なことです。ただし、ルールを守ること自体が目的化してしまうと、融通がきかないと評されることもありますよね。
その場の状況に応じて、時には原則を見直し、柔軟な対応をとることも大切ですね。
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