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私が生まれ育った家は、街の電気屋さんでした。小さな頃からお手伝いに言っていたので、たくさんのお客さんに可愛がってもらった記憶があります。
家電量販店が多くなった現代ですが、それでも古くからの馴染みのお客さんに愛され「いつまでも辞めないでね」「何かあったら声をかけるから」と今でも言って頂いています。我が家も一言報恩、電球を変えたり普段手の届きにくい部分の掃除をしたりと金銭に関係なくお手伝いをしたものでした。
ところでこの「一言芳恩」、どんな意味かご存知ですか?
この記事では「一言芳恩」の意味や語源、英語の表現や類義語、使い方の例文をご紹介します。
「一言芳恩」の意味と語源
「一言芳恩」の意味
それでは「一言芳恩」の意味をご紹介します。
まず読み方ですが、「一言芳恩」は「いちごんほうおん」または「いちげんほうおん」と読みます。
「一言芳恩」とは「ちょっと声をかけてもらったことを忘れずに感謝すること。また、一声を賜った恩に感じてその人を主人と仰ぐこと。」という意味です。
一言声をかけてもらったことに対して恩義を感じ、それを何かしらの形で返したいという気持ちのあらわれを表現する言葉ですね。
「一言芳恩」の語源
「一言芳恩」は、「一言」と「芳恩」の二語に分けることができます。
まず「一言」はそのまま、「ひとこと、一声」の意味です。これは実際の言葉が一言ではなく、一度声をかけてもらったことを意味します。
もう一方の「芳恩」ですが「芳」は自分以外から受けた物事に対して敬意を表す漢字で、「恩」は他人からもらった有り難いことを表しています。
この漢字を合わせることで「人からもらったありがたい恩に敬意を表すこと」という意味になります。
「芳」という字を使うことで、本当にありがたいと思っている、という敬意の表現になっているのです。
これらの二語を合わせることで、「ちょっと声をかけてもらったことを忘れずに感謝すること」といった意味になります。
「一言芳恩」の英語表現と類義語
「一言芳恩」の英語表現
ここまで日本語の意味をご紹介してきましたが、英語ではどう表現するのでしょうか?
- return a favor(恩に報いる)
- repay one’s kindness(恩返しをする)
【例文】
- if you do a favor for somebody, you will get a return favor(魚心あれば水心)
- I cannot repay you for all your kindnesses(何から何までご親切にしていただいてとてもあなたに恩返しはできません)
「return a favor」の「favor」は「厚意(好意)」という意味の単語で、直訳すると「厚意を返す」という意味になります。例文も直訳すると「誰かに善意で行ったことは、あなたに返ってくるでしょう」となり、意訳として「魚心あれば水心」が使われています。
「repay (who) one’s kindness」も同様の意味で使われますが、「一言かけてもらったことに対して」という表現があまり英語で一般的ではないため、的確に表現するのは難しいですね。
「一言芳恩」の類義語
「一言芳恩」に似た意味の言葉をご紹介します。
- 一飯千金
- 一飯之恩
- 報恩謝徳
「一飯千金」とは、一食を頂いたことがその人にとっては千金にも値するような恩恵に感じることから、「わずかな恵みにも厚い恩返しをする」という意味の四字熟語です。
小さなことでも自分にとっては大きな恵みである、という意味では「一言芳恩」に近いのですが、それに報いる気持ちがより強く表現されているのが「一言芳恩」という差もありますね。
「一飯之恩」とは、ほんのわずかの恵みのたとえを示しています。また、それに加えて「わずかな恩義であってもそれを忘れてはいけない」という戒めの意味を持つ言葉です。
上に記述した「一般千金」に近い表現ですが、戒めの言葉として使われるという点で異なります。
「報恩謝徳」とは、「恩に感謝し報いること」を意味し、受けた恩徳に対して如何ともしがたい感謝の気持ちが芽生えてどうしても報いたくなるさまを表現しています。
あまり一般的ではありませんですが、他二つの四字熟語より仏教などで使われることが多い表現です。
「一言芳恩」の使い方
最後に「一言芳恩」の例文や使い方をご紹介します。
【例文】
- 「あの時のことは一言報恩、彼には感謝してもしきれない。」
- 「あの時、声をかけてくれたことは一言報恩、本当に嬉しかった」
- 「社長にかけていただいた言葉を胸に、一言報恩、この会社で頑張ります。」
- 「方向性で悩んでいた時期に話しかけてくださったこと、一言報恩の気持ちです。」
- 「営業職において、一言報恩の姿勢が誠実さにつながる。」
「一言芳恩」は、ひとこと・一声かけられたことを忘れず、感謝の気持ちを表す時に使われます。
この「一言報恩」だけを用いて良い切りの形で使うほか、「気持ち」「姿勢」等を後につけて人をほめたり、感謝を伝える際に使用します。
商売には欠かせない「一言報恩」
現代では店と客のやり取りがより機械的で「この人だから買う」ということはあまりないように思われます。ですが、街の電気屋さんだった我が家は現在も仕事を続けられており、こうして生活できているのはお客さんから声をかけてもらい仕事をもらっているからなのです。
世の中には、人からもらった恩義を商売という形で返すという考え方もあるんですね。
新しいお客さんとのご縁を広げるには、まさに「一言芳恩」、一度声をかけてもらった恩を忘れずにお客さんのために一生懸命になること。これが大切なんですね。
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