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学校の授業って、テスト用に話を聞いてノートに書き写していたような気がします。
国語でいうと漢字を覚えたり、言葉のつなぎ方を覚えたりです。
決して物語の内容に興味を持つことは、学生の時の私にはありませんでした。
「平家物語」なんて「国語じゃなくて歴史でしょ?」という感覚でした。
今思えば、もっと感情移入してもよかったのではないかと思う物語です。
ところで、この「平家物語」に「盛者必衰」という言葉がありますが、あなたはご存知でしょうか?
この記事では、「盛者必衰」の意味と語源、英語表現と類義語、使い方の例文をご紹介します。
「盛者必衰」の意味と語源
「盛者必衰」の意味
最初に、「盛者必衰」の意味をご紹介します。
まずは読み方ですが、「盛者必衰」は「じょうしゃひっすい」と読みます。
「盛者必衰」とは、「勢いの盛んな者も、ついには衰え滅びる」という意味です。
どんなに盛り上がっていることや人も勢いは、いずれ衰えるということを表しています。
「盛者必衰」の語源
続いて、「盛者必衰」の語源をご紹介します。
「盛者必衰」は元々仏教語の一つで、「勢い盛んなものも必ず衰える時が来る」と「この世は無常(人の世がはかないこと)である」ことを表している言葉です。
「盛者」とは「勢いの強いもの」という意味で、「じょうしゃ」や「しょうしゃ」とも読みます。
「必衰」とは「必ず衰えること」という意味です。
この「盛者必衰」は平家物語の冒頭の一文に出てくるので、よくご存じの方が多いでしょう。
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 娑羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはすただ春の夜の夢のごとし たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ」
意味は「祇園精舎(祇園にある寺のこと)の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹(シャラの木、仏教の聖木)の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理を表している。栄えて調子に乗ってる人も、その栄えはずっとは続かず、春の夜の夢のように儚いものである。
勢い盛んではげしい人もいなくなり、まるで風に吹き飛ばされる塵(ちり)と同じだ」ということです。
平家物語は作者不明ですが、この一文から始まり盲目の琵琶法師によって語り継がれました。
平家の衰退のことだけではなく、意味を理解すると人の世の儚さを感じ取れます。
人は、永遠ではないということを言っているのです。
「盛者必衰」の英語表現と類義語
「盛者必衰」の英語表現
次に、「盛者必衰」の英語表現をご紹介します。
- Prosperous must decay(盛者必衰)
【例文】
- The timing of the prosperous must decay(盛者必衰の時期)
- He has waned with the other prosperous must decay(彼はもう盛者必衰で衰えてしまった)
「Prosperous」は「繁栄している」という意味で、反対に「decay」は「衰退」という意味です。
「must」は「しなければならない」という「義務」の意味があります。
「Prosperous must decay」は「繁栄しているものは衰退しなければならない」という直訳になります。
四字熟語の英語表現を、ビジネス場面別でまとめてみました。
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「盛者必衰」の類義語
それでは、「盛者必衰」の類義語をご紹介します。
- 栄枯盛衰(えいこせいすい)
- 会者定離(えしゃじょうり)
- 万物流転(ばんぶつるてん)
「栄枯盛衰」は、「(人や物・国など)全てのものは、栄えたり衰えたりする」という意味です。こちらは、ほぼ「盛者必衰」と同じとも言える類義語ですね。
「会者定離」は、「出会った者は必ず離れる定めにあるということ」という意味です。「生者必滅 会者定離」として、こちらも「盛者必衰」と同様に平家物語に出てくる言葉です。
「万物流転」は、「すべての存在は同じ状態であることはなく、変化し続ける」という意味です。『常に同じ状態ではなく、変化し続ける』という部分が、「盛者必衰」と似ています。
「栄枯盛衰」「万物流転」については、こちらの記事に詳しく書いています。
「栄枯盛衰」の意味や由来をわかりやすく解説。使い方の例文【英語・類語表現】
「万物流転」とは?意味と語源、英語表現・類義語【使い方の例文】
また、「万物流転」の意味に似た四字熟語に「諸行無常」があります。この「諸行無常」は、「盛者必衰」の語源でもご紹介した平家物語の冒頭の一文に出てくる言葉でもあります。
「諸行無常」とは?簡単に意味や使い方の例文をご紹介【英語・類語表現】
ちなみに、「一度失敗したものが、勢力を蓄え準備を整えて巻き返す」という意味の「捲土重来」という四字熟語がありますが、再起をかけて臨む時はこの言葉を掲げられてはいかがでしょうか。
「捲土重来」については、こちらの記事に詳しく書いています。
「盛者必衰」の使い方
最後に、「盛者必衰」の使い方を例文でご紹介します。
【例文】
- 「あの会社の株価は上昇しているが、盛者必衰なのでいつかは下がる」
- 「人気のあったアイドルも、今年に入って盛者必衰の理で見かけなくなった」
- 「盛者必衰で、彼女のモテ期は終了してしまった」
- 「あのチームは勢いがあったが、驕り高ぶり作戦を変更しなかったので盛者必衰となってしまった」
- 「盛者必衰と言われないように今から基盤をしっかりして、長く会社を続けて行きたい」
「盛者必衰」は、盛り上がっている物事が衰える時に使用されます。
「盛者必衰の(理)」「盛者必衰(となる)」などと使用される場合が多いですね。
まとめ:「盛者必衰」はマイナスの言葉ではない
以上、「盛者必衰」について、ご紹介してきました。
まとめると、以下の通りです。
読み方 | じょうしゃひっすい |
意味 | 勢いの盛んな者も、ついには衰え滅びること |
語源 | 「盛者」=「勢いの強いもの」 「必衰」=「必ず衰えること」 元々仏教語の一つで、「勢い盛んなものも必ず衰える時が来る」と「この世は無常(人の世がはかないこと)である」ことを表している言葉。 |
英語表現 | Prosperous must decay(繁栄は必ず衰退する) |
類義語 | ・栄枯盛衰(えいこせいすい) ・会者定離(えしゃじょうり) ・万物流転(ばんぶつるてん) |
「盛者必衰」は「勢いの盛んな者も、ついには衰え滅びる」という意味でマイナスな言葉に捉えがちではありますが、仏教において「勢いのあるものはいずれ力が衰える」ということで悪いことではありません。
人が生きているということは勢いがあるということです。人は必ず死にます。
ですから生きているもの(勢いがあるもの)は、必ず死ぬ(衰える)という考え方なのです。
しかし、生死のこと以外で使用されることが多いです。
調子に乗っている人はいつかは衰退しますので、『気をつけなさい』という戒めでもあります。
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