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あなたには、日常で続けている小さなことはありますか?
私は、小さい頃からピアノを習っています。当然、最初は音符も読めず、何も弾けないところからのスタートでした。
先生に教えてもらいながら稽古を続けていると、簡単な曲が弾けるようになり、段々と難しい曲も弾けるようになりました。今では、クラシックの名曲にもチャレンジできます。
点滴穿石、細々とですが「継続してきて良かったなあ」と思います。
さて、この「点滴穿石」ですが、一見すると意味が分かりにくい言葉ではないでしょうか。
「“穿”の字は見たことあるけど、意味は何だろう?」と思う方も少なくないかもしれません。
この記事では、「点滴穿石」の意味と語源、英語表現と類義語、使い方の例文をご紹介します。
「点滴穿石」の意味と語源
「点滴穿石」の意味
最初に、「点滴穿石」の意味をご紹介します。
まず読み方ですが、「点滴穿石」は「てんてきせんせき」と読みます。
「点滴穿石」とは、「小さな努力でも続けていれば、大きな成果を得ることができる」という意味です。
いきなり成果を出すことや、大変な努力をして成果を出すことではありません。
「点滴穿石」とは、「小さな努力を続けた結果、大きな成果になること」を指します。
「点滴穿石」の語源
続いて、「点滴穿石」の語源をご紹介します。
「点滴」と「穿石」の二語に分けて、解説していきます。
まず「点滴」とは、「一滴の水」や「したたり落ちるしずく」を意味します。小さなしずくが、ぽたぽたと一滴ずつ落ちるイメージですね。
次に「穿石」とは、「石に穴をあけること」を意味します。この「穿」という漢字は、訓読みで「うが(つ)」「は(く)」と読みます。
この二語が合わさって、「点滴穿石」となります。
また、「点滴穿石」の由来についてです。
「点滴穿石」は、漢書(かんじょ)の「枚乗伝(ばいじょうでん)」が由来とされています。
この章の中には、「泰山(たいざん)の霤(あまだれ)は石を穿ち」という文章があります。
つまり、「泰山という山から染み出た雨のしずくが、時間をかけてしたたって石を砕いた」という意味ですね。
それが転じて、「一滴の水(小さなこと)」でも長い間根気強く続けていると、「石に穴をあけることができる(大きな成果を得る)」という意味の四字熟語になりました。
「点滴穿石」の英語表現と類義語
「点滴穿石」の英語表現
次に、「点滴穿石」の英語表現をご紹介します。
- can accomplish great feats(点滴穿石)
- constant dripping wears away the stone(点滴穿石)
【例文】
- I’m so happy for you! You can accomplish of my great feat to pass elite school. (おめでとう!点滴穿石、あなたは難関校に合格できた。)
- You are always working hard on your training. This is so “Constant dripping wears away the stone.” (君は毎日トレーニングを頑張っているよね。まさに「点滴穿石」の姿勢だね。)
「accomplish」とは「成し遂げる」という意味です。
「feats」は「手柄、功績、業績」などの意味を持つ単語です。
そこに「great」が付くことで、「大きな成功」というニュアンスになります。
「working hard」は「頑張っている」、「this is so~」は「これぞまさに~」という意味の表現です。
四字熟語の英語表現を、ビジネス場面別でまとめてみました。
ビジネス英語として実践で使える四字熟語30選【英語勉強アプリもご紹介】
「点滴穿石」の類義語
それでは、「点滴穿石」の類義語を紹介します。
- 山溜穿石(さんりゅうせんせき)
- 積土成山(せきどせいさん)(せきどせいざん)
- 積水成淵(せきすいせいえん)
- 愚公移山(ぐこういざん)
- 下学上達(かがくじょうたつ)
- 雲外蒼天(うんがいそうてん)
「山溜穿石」「積土成山」「積水成淵」は、全て「小さなことでも続けると、大きな成果になる」という意味の四字熟語です。
「山溜」は「山中よりしたたり出る水」を指します。「穿石」は「石に穴をあける」なので、「点滴穿石」の言い換えの四字熟語と言えますね。
「積土」は「土を積むこと」です。「成山」は「山を成す、山になる」を表します。つまり、「土を積むと山になる」ということですね。
「積水」は「少量の水が集まって積もった状態」を指します。「成淵」は「深い淵になる」という意味です。従って、「少しの水が集まると、深い淵になる」ということです。
「愚公移山」は、「難しいことも根気よく努力し続ければ、いつか必ず成功する」という意味です。表現こそ違いますが、意味は「点滴穿石」に似ています。
「下学上達」は、「身近でわかりやすいことから学び始めて、やがて深い学問に進んでいくこと。」という意味です。意味はやや違いますが、「点滴穿石」と同様に「成果に向けての手段」は似ていますね。
「雲外蒼天」は、「試練を乗り越え、努力して克服すれば、快い青空を見ることができる」という意味です。「点滴穿石」と同じく、「努力して試練を乗り越えれば、成果を得られる」という意味ですね。
「愚公移山」「下学上達」「雲外蒼天」については、こちらの記事に詳しく書いています。
「愚公移山」とは?意味と語源、使い方の例文【英語表現&類義語】
「下学上達」とは?意味と語源、英語表現と類義語【使い方の例文】
「雲外蒼天」とは?意味と語源、英語表現と類義語【使い方の例文】
「点滴穿石」の使い方
最後に、「点滴穿石」の使い方を例文でご紹介します。
【例文】
- 「点滴穿石を座右の銘に、これからもコツコツ頑張ろう!」
- 「点滴穿石とは分かっちゃいるけど、なかなか続かないんだよなあ。」
- 「毎日30分歩いていたら、3キロ減りました。点滴穿石、続けてきて良かったです。」
- 「これからも水滴石穿の精神を忘れず、日々邁進して参ります。」
- 「わが社の現在の状況では、これはかなり大きな目標と言えます。点滴穿石の気持ちを持って、取り組んで行きましょう。」
「点滴穿石」は、「小さな努力でも続けると、大きな成果になる」という時に使います。
具体的な使い方としては、「点滴穿石の精神で、努力を継続する」や「点滴穿石と言うし、あきらめずに頑張ろう!」などが適切です。
「前日に猛勉強して赤点を免れた。点滴穿石、頑張って良かった!」や「点滴穿石の気持ちが大事。よし、ダイエットサプリを買おう!」など、「大きな行動や短絡的な行動で、すぐに成果を出す」という使い方は相応しくないので、注意しましょう。
まとめ:「点滴穿石」は小さな一歩の積み重ね
以上、「点滴穿石」についてご紹介してきました。
まとめると、以下の通りです。
読み方 | てんてきせんせき |
意味 | 小さな努力でも続けていれば、大きな成果を得ることができること |
語源 | 「泰山という山から染み出た雨のしずくが、時間をかけてしたたって石を砕いた」という意味の漢書(かんじょ)の「枚乗伝(ばいじょうでん)」が由来 |
英語表現 | ・can accomplish great feats(素晴らしい偉業を成し遂げることができる) ・constant dripping wears away the stone(絶え間ない滴りが石をすり減らす) |
類義語 | ・山溜穿石(さんりゅうせんせき) ・積土成山(せきどせいさん)(せきどせいざん) ・積水成淵(せきすいせいえん) ・愚公移山(ぐこういざん) ・下学上達(かがくじょうたつ) ・雲外蒼天(うんがいそうてん) |
今続けている小さなことが、大きな成果や結果に繋がるかもしれません。日々意識している人も、何となくしている人も小さなその習慣をぜひ継続してください。
何もしてない人も、これを機に何か小さなことを始めてみるのはいかがでしょうか。
最初は誰もが初心者、何もできなくて当然です。赤ちゃんがいきなり歩くことができないように。
小さなステップを少しずつ重ねて、歩けるようになります。
小さくても一歩を踏み出して、積み重ねていけば大きな成果がそこにはあるかもしれません。
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