「呉越同舟」の意味や故事の由来とは?英語・類語、使い方の例文をご紹介

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突然ですが、あなたはライバル関係にある相手と手を組んだことはありますか?
「ライバルと手を組むなどとんでもない」と思われる人が多いと思いますが、時にはそんな場面が必要なのではと感じることも少なくないと思います。
私自身も「あの人と協力するのはイヤだな~」と思いつつも、周りからの推薦で渋々手を組んだことがありますが、意外に相乗効果なのか成果が現れたという経験があります。
実際に、ビジネスの世界やスポーツの業界などでも共に力を合わせることで大きなことが成し遂げられることもあり得ます。
そんな対立している立場同士が手を組む四字熟語に「呉越同舟」という言葉があります。
この記事では、その「呉越同舟」の意味や由来、英語・類義語表現や使い方の例文をご紹介していきます。

 

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「呉越同舟」の意味や由来

「呉越同舟」の意味

まずは読み方ですが、「呉越同舟」は「ごえつどうしゅう」と読みます。
「呉越同舟」とは、仲の悪いもの同士でも共通の目的や利益のために協力し合うという意味です。
ただし、単純に「ライバル同士の者たちが同じ場に居合わせる」という意味だけでも使うことがあります。
どちらの意味で使われているかは、文脈から読み解く必要があります。
よく間違われるの意味としてライバルの二人が一つの場所に居合わせてしまう困った状況になること」「ライバルが激しく争っている様子」というものがありますが、本来の意味は「ライバルでも困ったときは協力しあう」という意味なので間違うことがないように気をつけましょう。

「呉越同舟」の由来

次に、「呉越同舟」の語源でもある故事の由来について見ていきましょう。

まず前半部分の「呉越」という部分。これは「呉」の国と「越」の国という、中国に実在した2つの国家のことなのです。
この頃(紀元前770年~紀元前403年)の中国を、春秋時代と言います。
沢山の勢力が乱立した時代で、沢山の小国が生まれては滅び、滅びては生まれの繰り返しでした。
この中でも呉・越の2国は、春秋時代の最後とも言われる2大国家でした。
最終的には呉の国の君主である夫差(ふさ)が、越の国の君主である勾践(こうせん)に敗れてしまうのですが、この2国間の争いは「呉越抗争」と言われるほど歴史に残っていて、まさにライバル関係だったのです。
呉の国と越の国という「本来ならばライバル同士であるはずの二者でも、同じ舟に乗っていて何かしらのピンチに見舞われた場合、(例えば大嵐にあったり舟が転覆しそうになったりした時などでも)互いに協力しあってその局面を切り抜ける」ということになることが由来となっています。

実は、呉と越が「ライバル関係」というのがポイントですね。
次に「同舟」について、ご説明します。「同舟」とは、この文字通りで同じ舟に乗り合わせるという意味で用いられている言葉です。つまり、呉越同舟という言葉は「呉と越が同じ舟に乗り合わせる」ということになりますね。

 

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「呉越同舟」の英語表現・類語

続いて、「呉越同舟」について英語表現や類語も併せて見ていきましょう。

「呉越同舟」の英語表現

「呉越同舟」の英語表現に関して、中々同じような諺(ことわざ)表現が英語にはありませんが、英訳すると以下のようになります。

  • bitter enemies in the same boat cooperate together to avoid their accident

こちらは「呉越同舟」を表現しており、直訳すると「敵対しているものでも、同じ舟に乗り合わせてしまったらアクシデントを避けるために協力し合う」という意味になります。
それぞれの英語については、bitter enemies(敵対しているもの)」で「呉越」となり、「in the same boat cooperate together(同じ舟に乗り合わせて協力する)」+「to avoid their accident(アクシデントを避けるために」で「同舟」という意味になりますね。

「呉越同舟」の類語

「呉越同舟」の類語には、以下のようなものがあります。

  • 共同戦線(きょうどうせんせん)
  • 大同団結(だいどうだんけつ)

「共同戦線」は「二つ以上の組織や団体が共通の目的達成に向けた協力体制」のことです。
「大同団結」は「数多くの派閥などが小さいことを気にせずに大きな成果を得るために協力しあうこと」を意味しています。
「呉越同舟」は敵対している関係が手を組むので、どちらかと言えば「大同団結」の方が類似していますね。

 

「呉越同舟」の使い方の例文

それでは、「呉越同舟」の使い方について例文を用いて見ていきましょう。

【例文】

  1. 「彼とはずっとライバル同士だけど、今回のテストで赤点を免れるために呉越同舟が必要だ。」
  2. 「あの悪人を改心させるために、一旦、呉越同舟としよう。」
  3. 「彼女は呉越同舟を経て信頼できるようになった、親友なんだ。」
  4. 「ずっと仲たがいしていた彼らが呉越同舟している様子を見て、私も思わず嬉しくなったよ。」
  5. 「今日試合する2チームが同じ新幹線に乗り合わせるなんて、呉越同舟だね。」

言うまでもなく、対立している2つ以上が一つになる時に使います。
基本的には「呉越同舟」という名詞単体として使われますが、「呉越同舟する」などと動詞として使えるということも覚えておきましょう。

 

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「呉越同舟」の精神は不可欠

対立していると、どうしても同じ環境に身を置くことは難しいと思います。
ですが、「呉越同舟」の意味の通りに助け合う精神を大事にすることで、一人または一つの組織や団体で乗り越えるよりも容易くできるのは当然ですが、ライバルが心掛けている習慣や技術などを盗めるなど新しい発見があり、得られるものも多いと思います。
新しい考え方として、「呉越同舟」を取り入れてみてください。

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