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最近になって「自家撞着」という言葉を知る機会がありました。聞き慣れない難しそうなその言葉の意味を知ってからのこと、以前職場で同僚が「前と言ってることが違う!」と上司の指示に少々怒っていました。話しを聞きつつ、この時の同僚から見た上司を表す言葉が「自家撞着」というのかと思いを巡らせました。
この記事では「自家撞着」の意味や語源、英語の表記や類義語、使い方の例文をご紹介します。
「自家撞着」の意味と語源

「自家撞着」の意味
はじめに、「自家撞着」の意味についてご紹介したいと思います。
まずは読み方ですが、「自家撞着」は「じかどうちゃく」と読みます。
「自家撞着」とは「一人の人間の発言や行動が前と後とで一致せず、食い違うこと」「自分で自分の言及に反すること」という意味です。
つまり、「矛盾し、つじつまがあわないこと」を表す言葉ですね。
「自家撞着」の語源
次に、「自家撞着」の語源についてご紹介します。
14世紀の元(中国の王朝)の頃、禅宗の公案集『禅林類聚(ぜんりんるいじゅう)』の「看経門(かんきんもん)」の一文「回頭撞着自家底」という漢文が語源です。「自家」は「自分の家」また「自分自身」を意味し、「撞着」は「突き当たる」や「矛盾する」「つじつまが合わない」ことを意味します。
「撞着する」という単体でも使われますが、「自家」がつくことで「自分自身」だったり「一人の人」と対象の範囲を特定させることができ、四字熟語を使うことで状況をより強く表すことができますね。
「自家撞着」の英語表現と類義語
「自家撞着」の英語の表現
続いて「自家撞着」が英語でどのように表現されているのかをご紹介します。
- Self-contradiction(自家撞着)
- To contradict oneself(自家撞着する)
【例文】
- Your argument is self-contradictory.(君の議論は自家撞着だ)
- He contradicted himself in the same breath.(唇の乾かぬうちに自家撞着した)
「Self」は「自分」や「自身」「同一の」、「contradiction」は「否定(すること)」「否認」「不両立」「矛盾(すること)」を意味し、「自家撞着」を表現しています。また、「He contradicted himself」は「自家撞着する」に「彼自身」という意味が加わることで対象をより明らかにし、「in the same breath」の「舌の根(唇)も乾かぬうちに」「やつぎばやに」という意味がその様子を詳細に表現しています。
「自家撞着」の類義語
次に「自家撞着」と似たような意味を持つ言葉をご紹介していきます。
- 自己撞着(じこどうちゃく)
- 自己矛盾(じこむじゅん)
「自己撞着」は、「自らの言動と矛盾した行動をとると」という意味です。
「自己撞着」は、「自らの言動に矛盾が生まれ、つじつまが合わなくなる」という意味です。
どちらも「自家撞着」と同じ意味を持っています。「撞着」と「矛盾」が共に「つじつまが合わないこと」を意味するので、同じような意味を持つ言葉も多く存在していることがうかがえます。
「自家撞着」の使い方

最後に「自家撞着」の使い方を紹介します。
【例文】
- 「君の理論は、自家撞着だ!」
- 「感情に任せて、自家撞着な発言をしてしまった」
- 「横文字の氾濫を嘆く傍ら、横文字を多く使うとは自家撞着な人だ」
- 「自己撞着と言われても、今はこの判断が正しいと思っている」
- 「書き上げたレポートの導入と結論が自家撞着していて、書き直すことになった」
「自家撞着」は、自らの言動についての「矛盾」を表現しているため、あまり良い意味では使われません。それでも日常の中で「自家撞着」を使う場面は多いので、その意味や使い方を知っていて損はありません。
「自家撞着な~」や「自家撞着している」などと使われることが多いですね。
「自家撞着」の対義語
「首尾一貫(しゅびいっかん)」と「初志貫徹(しょしかんてつ)」は「自家撞着」とは対極の言葉です。「首尾一貫」は「物事の最初から最後まで、矛盾なく方針を貫くこと」で、「初志貫徹」は「始まりから終わりまで、一貫して姿勢を貫くこと」という意味です。つまり、「一度決めたら最後まで貫く」ことを表しています。
何事も三日坊主になりがちな人には耳の痛い言葉かもしれません。でも、何事にも自分の意思を貫き通すことができる人はすごく素敵な人だなと、またそのようにありたいと願わずにいられません。
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