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日本には情緒あふれる四季とともに、美しい景色を観ることができる観光地が多くありますね。
そんな美しい景色を観た時に表現する言葉に「花鳥風月」という四字熟語があります。
現代では歌のタイトルとして用いられるなど、季節を表現するとても有名な言葉の一つですが、実際の使い方などは知らないという方も少なくはないのではないでしょうか。
この記事では、そんな「花鳥風月」の意味や語源、英語・類義語表現や使い方の例文をご紹介します。
「花鳥風月」の意味と語源
まず最初に、花鳥風月は「かちょうふうげつ」と読みます。
見るからに、優雅で可愛らしい言葉ですよね。
イメージは非常に湧きやすい言葉ですが、実際はどのような意味や由来があるのでしょうか。
「花鳥風月」の意味
この四字熟語を成している「花」「鳥」「風」「月」。
「花鳥風月」とは、「四季を彩る美しいものの代表格であり、その美しさに代表されるような景色のこと」という意味です。
さらに掘り下げてみると、このようなこともわかります。
「花鳥」とは、この花と鳥を自然の美の代表とするだけではなく、花を見たり鳥のさえずりを聞いたりする、美しき心のゆとりを表現したものでもあります。
「風月」とは、さわやかで清い風、そして美しい月などの自然の風景を表しています。また、これらに代表される自然や風流に寄り添い楽しむこと。こういった美しい自然に親しみ、詩歌や詩文をしたためることのできる才能も示す言葉でもあります。
つまり、単に自然の美しさを代表となる4語で表現したものではなく、それらの美しい自然の風物と関わりのある風雅な遊びの美しさも示すものだというわけですね。
「花鳥風月」の語源
次に、「花鳥風月」の語源について見ていきましょう。
花鳥風月という言葉がいつどこで生まれたかというと、場所は日本そして時代はなんと室町時代にまでさかのぼります。
この室町時代に活躍した人、「世阿弥(ぜあみ)」が書いた「風姿花伝」という著書に「花鳥風月」という言葉が登場しています。
風姿花伝という書物は、日本で初めての芸能論に言及した書物だとされています。
世阿弥は「猿楽師」と言って、日本の伝統芸能である「能」に従事した人でした(昔は能のことを猿楽と言っていました)。その「能」の理論について書にしたものが「風姿花伝」です。
今では日本最古の演劇論だとも言われており、その中に記されている「上職の品々、花鳥風月の事態、いかにもいかにも細かく似すべし」という一文に登場したのが、花鳥風月という言葉の始まりです。
世阿弥は、貴重な書を残してくれた偉大なる芸術家なんですね。
「花鳥風月」の英語表現や類義語
「花鳥風月」の英語表現
続いて、「花鳥風月」の英語表現をご紹介します。
- beauty of the nature(花鳥風月)
そのまま訳すと、「自然のうつくしさ」ということになります。
「~represented by flower, bird singing, fresh wind and the moon」を付け加えると「花や鳥のさえずり、清らかな風、そして月」というような、花鳥風月の要素も忠実に取り込むことができます。
【例文】
- the traditional themes of natural beauty in Japanese aesthetics.(日本の美学に沿った自然の美しさについての伝統的な代表格。)
日本語にするとちょっとわかりにくいですが、「花鳥風月」という言葉を知った上で、この4つの漢字がどのような意味合いとして使われているかを英語で表したい時に、この表現が使えますね。
四字熟語の英語表現を、ビジネス場面別でまとめてみました。
ビジネス英語として実践で使える四字熟語30選【英語勉強アプリもご紹介】
「花鳥風月」の類義語
それでは、「花鳥風月」の類義語をご紹介します。
- 春花秋月(しゅんかしゅうげつ)
- 風流韻事(ふうりゅういんじ)
- 説月風花(せつげつふうか)
「春花秋月」は、春は花が咲き乱れ、秋には月夜の美しさのことを意味しています。
「風流韻事」は、自然に寄り添いながら詩歌や書画を作って遊ぶ風流な様子を表しています。
「説月風花」は、四季を彩る自然の美しい景色のことを表しており、詩歌を作る風流な様子のことです。
これらの四字熟語は花鳥風月と同様、美しいものの代表格を並べて、その自然の美しさを表現した言葉たちです。
この言葉を見ているだけで、日本の四季や風景の美しさが目に浮かぶようですね。
こちらの「四季折々」「風光明媚」も自然の美しさを表現する四字熟語になります。
「四季折々」とは?意味と語源、使い方の例文【類義語と英語表現】
「風光明媚」の意味や使い方とは?読み方や英語・類語表現【例文つき】
「花鳥風月」の使い方
最後に、「花鳥風月」の使い方を例文でご紹介していきます。
【例文】
- 「寒さが厳しい冬も開けて、春の花鳥風月を愛でる季節がやってきたね。」
- 「今回最優秀賞を獲得したこの詩文は、いかにも花鳥風月が巧みに込められた名作である。」
- 「日本の花鳥風月は、他のどの国にもない独特で美しいものだ。」
- 「前回の旅行は、花鳥風月を存分に感じられたものだったよ。」
- 「君のおかげで仕事から解放され、花鳥風月を楽しめる程の気持ちの余裕ができた」
例文のように、「花鳥風月」は自然の美しさを表現する言葉として多く使われています。
使い方としては名詞として単体で用いる他、「〜を感じる」「〜を楽しむ」などが一般的ですね。
ただ、この言葉が持つ意味に合わせてちょっと粋な感じの「〜を愛(め)でる」「〜をたしなむ」「〜を友としている」といった風情ある使い方もオススメです。
まとめ:美しい言葉「花鳥風月」
以上、「花鳥風月」についてご紹介してきました。
まとめると、以下の通りです。
読み方 | かちょうふうげつ |
意味 | 四季を彩る美しいものの代表格であり、その美しさに代表されるような景色のこと |
語源 | 日本最古の演劇論「風姿花伝」の中にある、「上職の品々、花鳥風月の事態、いかにもいかにも細かく似すべし」という一文から |
英語表現 | beauty of the nature(自然の美しさ) |
類義語 | ・春花秋月(しゅんかしゅうげつ) ・風流韻事(ふうりゅういんじ) ・説月風花(せつげつふうか) |
このように「花鳥風月」には日本古来の美しさというものが含まれているように思えてならない、魅力的な言葉と言えますね。
自分が普段口にする言葉たちって、実はその人そのものの気質を表すもの。
ほんの少し、意識して美しい言葉を使うだけでもなんだか身体の中から綺麗になっていく気になります。
また、「花鳥風月」はその季節ならではの自然の美しさから生まれた言葉ではありますが、関連する食べ物なども季節のうつろいの美しさを愛でるという意味でこの四字熟語に含まれるかもしれませんね。
これを機に一度、花鳥風月という言葉を口に出してみてはいかがでしょうか。
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