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以前、『日本は、世界で一番平和な国。今の世を「鼓腹撃壌」と言い、永遠に続いて欲しいものだ。』と言っているのを聞いたことがあります。その時は特に気にかけていませんでしたが、最近になり自然災害や世界情勢のニュースを耳にする中で、私は毎日充分な量の食事を摂ることができ、一緒に食卓を囲む家族も居て、そんな日々を変わりなく過ごすことができていると、ふと感じたのです。
それは私にとっての「鼓腹撃壌」なのだと、つくづく感じさせられました。
この記事では「鼓腹撃壌」の意味や語源、英語の表記や類義語、使い方の例文をご紹介します。
「鼓腹撃壌」の意味と語源
「鼓腹撃壌」の意味
はじめに、「鼓腹撃壌」の意味についてご紹介したいと思います。
まずは読み方ですが、「鼓腹撃壌」は「こふくげきじょう」と読みます。
「鼓腹撃壌」とは「善政が行われ、人々が平和な生活を送るさま」という意味です。
つまり、「平和な世の中であること」や「太平を謳歌する」を表す言葉ですね。
「鼓腹撃壌」の語源
次に、「鼓腹撃壌」の語源についてご紹介します。
「鼓腹撃壌」の語源は、「十八史略(じゅうはっしりゃく)」という、中国の南宋時代に書かれた書物で、古代中国の神話で優れているとされた8人皇帝の一人「堯帝(ぎょうてい)」の項で用いられたことに由来します。
「鼓腹」は腹づつみを打つことで、「撃壌」は「壌(つち)を撃つ」という意味で地面を踏んで拍子とることを表しています。また、書物の中では「歌いていわく~」と続くため、「満腹で太鼓のようになったお腹と足でリズムをとりながら歌っている」という様子がうかがえます。食べ物や暮らしの豊かさが政治情勢に左右されていた時代に、お腹いっぱいご飯が食べれるという情景から「平和な世」「善い政治」を表現しています。
「鼓腹撃壌」の英語表現と類義語
「鼓腹撃壌」の英語の表現
続いて「鼓腹撃壌」が英語でどのように表現されているのかをご紹介します。
- Sing the praises of peace(鼓腹撃壌)
【例文】
- To sing the praises of life(人生を賛美する)
- The people enjoy the blessings of peace(人々は太平を謳歌する)
「Sing the praises」は「褒めちぎる」、「of peace」は「平和の」を意味します。なので、「Sing the praises of peace」は直訳で「平和を賛美する」「平和を喜ぶ」となり、「鼓腹撃壌」の「平和な世の中であること」を表します。
そして、「enjoy the blessings」は「天の恵みを楽しむ」、「of peace」を合わせることで「平和の恩恵を楽しむ」となり、「鼓腹撃壌」の「太平を謳歌する」を表していることになります。
「鼓腹撃壌」の類義語
次に「鼓腹撃壌」と似たような意味を持つ言葉をご紹介していきます。
- 含哺鼓腹(がんぽこふく)
- 撃壌之歌(げきじょうのうた)
「含哺鼓腹」は、「含哺」が「口に物を含むこと」を意味し、食べ物でお腹が満たされる様子から、「人々が豊かな生活をして、平和な世の中を楽しむこと」という意味です。
「撃壌之歌」は、「世の中が平和であることを喜び、人々が歌った歌」という意味です。
どちらも「豊かで平和な世の中」「喜び、楽しむ」という意味で「鼓腹撃壌」と似ていますね。
「鼓腹撃壌」の使い方
最後に「鼓腹撃壌」の使い方を紹介します。
【例文】
- 「この政治家は、鼓腹撃壌の世の中をつくるため日々努力を重ねている」
- 「あの国では政権交代の後、治安も良くなり鼓腹撃壌な社会に変わった」
- 「鼓腹撃壌の至福の時を味わうことができた」
- 「鼓腹撃壌の世が続き、人々の笑顔が増えたようだ」
- 「今の生活に鼓腹撃壌を感じる人ばかりではない」
「鼓腹撃壌」は世の中が平和であることや生活の豊かさを表す時に使われる言葉です。
「鼓腹撃壌の世」「鼓腹撃壌を味わう」などと使われることが多いです。
一人の人の人柄や言動が、周囲の人から尊敬を集めている様子に「鼓腹撃壌という言葉がピッタリだ」と表現されることもあります。
「国」などに対してだけでなく「地域社会」など、存在の大きさに関係なく使われます。
「Peaceful and happy life perfect contentment」
「Peaceful」は「平和な」、「happy life」は、「幸せな生命(命)」、「perfect」は「完璧な」や「申し分ない」、「contentment」は「満足」とそれぞれ意味します。この英文も「鼓腹撃壌」を表しています。素敵な言葉がいっぱい詰まった英文です。口ずさむだけで、「幸せ」がやってきそうなほどです。歌にもなりそうですね。
全ての人が「平和」や「幸せ」を等しく感じることは、すごく難しいことなのかもしれません。それでも「鼓腹撃壌な世」が永く続くことを願わずにはいられません。
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