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日本語での表現の中には、物事を色や天気など全く別のことで表現する風習が良く見られますよね。
物事を直接的に表現するよりも、何か別のことに置き換えて表現する方がニュアンスが伝わりやすいこともあるでしょう。イメージを膨らませながら物事を捉えられますよね。
この記事では「雲散霧消」の意味や語源、英語・類義語表現や例文による使い方をご紹介します。
「雲散霧消」の読み方、意味や語源とは
天気や気候の要素が登場する「雲散霧消」という四字熟語ですが、まずどのように読めばよいのか、そして意味からたどっていきましょう。
「雲散霧消」の意味と語源
「雲散霧消」は「うんさんむしょう」と読みます。
「雲散霧消」という四字熟語では、「雲」「霧」という二つの自然現象が取り上げられていますね。
上記の二つ、実は同じような働きを持っています。
- 「雲の隙間から光が差し込んでくる」
- 「霧が晴れ渡っていく」
というような表現を聞いたことがありませんか?
混沌とした状態から解放されていく様子を表す言葉だということを、ご存知の方も多いことかと思います。
つまり「雲散霧消」とは、「雲や霧が消え去るように、物事があとかたもなく消え去っていくこと」という意味になります。
跡形もなく消え去る「物事」についてですが、物体が無くなるという意味もあれば、人の心の中に溜まっていたわだかまり・悩み・心配事など、そういった目に見えないものが消える様を表現したい時にも使うことができます。
「雲散霧消」の語源
「雲散霧消」という言葉は、「雲や霧が、風に吹き飛ばされたり、日の光に当たったりして消えていくさま」に着想を得てできた四字熟語です。
なので、「雲」と「霧」は「雲散霧消」という四字熟語の中で同じ役割を果たしているというわけですね。
というわけで、実は「雲散霧消」は「雲消霧散(うんしょうむさん)」とも書くことができます。
「雲」が散り「霧」が消えていくという「雲散霧消」から、「雲」が消え「霧」が散っていくという「雲消霧散」へと表現が変化したものと言えます。これも「雲」「霧」という二つの漢字が同じ役目を担っている証拠と言えます。
「雲散霧消」の英語・類義語
さて、 「雲散霧消」のように自然現象を取り上げて作られた四字熟語の美しさが少しずつ分かってきたところで、次は「雲散霧消」の他の表現について知っていきましょう。
英語での表現方法、そして類義語を紹介していきます。
「雲散霧消」の英語表現
「雲散霧消」は、英語で表現すると以下のようになります。
- vanishing like mist(霧のようにきえていく)
- disperse like mist(霧のように消滅していく)
- go up in smoke(煙のようにはかなく消える)
以上のような表現が「雲散霧消」に最も近い英語表現だと言えます。
雲の代わりに「smoke(煙)」という単語が使われていることがポイントですね。ただしこの「smoke」という単語は、単に「(火を燃やして出る)煙」という意味の他にも「(水蒸気とかドライアイスでできる)蒸気」なんかも包括しているので、どちらかというと霧に近いものと捉えてOKです。
「雲散霧消」の類義語
「雲散霧消」の類義語には、以下のようなものがあります。
- 海士蜃楼(かいししんろう)
- 雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)
- 無鋭無踪(むえいむそう)
全ての四字熟語に共通しているポイントは、どれも「存在しているように見えるのだけれども、掴みどころがない何か」というような表現をしていることです。どこへ行ったのかわからないものや、実体や根拠がなく存在が虚(うつ)ろなものを例える場合に使われています。
それぞれの四字熟語が微妙に違ったニュアンスを持っていることが興味深いですよね。
「雲散霧消」の使い方
「雲散霧消」という四字熟語について理解が深まったところで、実際にはどのように使えばよいのか例文と共に学んでいきましょう。
【例文】
- 「長年の悩みが彼の一言で雲散霧消したよ。」
- 「彼女への報われない愛を雲散霧消にしたいのにできない」
- 「いまいち気乗りしない企画だなと思っていたが、案の定雲散霧消した」
- 「真犯人が自首したおかげで、僕の容疑は雲散霧消となった」
- 「今まで辛く大変な思いばかりだったけど、このプロジェクトの成功のおかげでこれまでのストレスが一気に雲散霧消したよ。」
このように、雲散霧消は良い意味で用いることが多い四字熟語です。「悩みが雲散霧消する」と言うように、雲が晴れて光が差してくるというような様子をイメージして使ってみると、日常会話の中でも上手に生かすことができますよ。
「悩みが解決する」という観点から見ると、こちらの四字熟語も同じ意味になります。
お悩み解消の定番、「雲散霧消」
生きていれば楽しいことも辛いこともあり、人に悩みはつきものですよね。
大変な思いや辛い経験をすることもありますが、時々訪れる「雲散霧消」の瞬間があるからこそ、また励まされれ新しい一歩を踏み出せるのかもしれません。
「雲散霧消」という言葉は、立ち込めたネガティブな物事が晴れるという素敵な意味を持った四字熟語です。
是非胸にとどめておいて、つらいことがあったとしても「いつかは雲散霧消する」と信じて生きていきたいものですね。
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