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昨今、インターネットの普及により書籍から遠のいてしまっている人は多いのではないでしょうか?ネット書籍にはメリットがいくつかありますが、一番は場所を確保しなくていいことです。
本を読むことは好きだけど、買ってしまうと置き場所の確保に悩んでしまいます。
そんな便利なネット書籍ですが、たまに図書館に行きたくさん並んだ書籍を見ると嬉しくもあり、落ち着くのは不思議なことです。
この記事では「汗牛充棟」の意味や語源、英語・類義語表現や例文を用いた使い方をご紹介していきます。
「汗牛充棟」の意味は?語源は?
「汗牛充棟」をさっと読める人はいるのでしょうか?というくらいこの言葉は普段聴くことのない言葉です。「汗牛充棟」は「かんぎゅうじゅうとう」と読みます。
一体この言葉の意味はどんなことをいうのか、予測もできませんよね。しかし、このような言葉がテストには出題されやすいので、ぜひ覚えておきましょう。
「汗牛充棟」の意味
「汗牛充棟」とは「書籍がとても多いこと」という意味です。
書籍を表現した漢字は一字も入っていないので「この意味がどこからくるのだろう?」と不思議に感じます。汗や牛から想像できるものはたくさんありますが「汗牛充棟」という言葉は書籍というゴールを目指しているようで、迷路を脱出できたときの嬉しさに浸れる感覚は言葉の楽しいとことでもありますね。
「汗牛充棟」の語源
- 「汗牛」・・・「車に積み、牛に引かせれば牛が汗をかく」という意味
- 「充棟」・・・「家の中に積めば棟木にまで届いてしまう量」という意味
古代中国・唐の柳宗元という人物が、孔子の意に背いた書物が出回っていると嘆いた言葉です。
「陸文通先生墓表」には「其の書為るや、処れば即ち棟宇に充ち、出でだせば即ちに牛馬に汗す。」という記述があります。これは「書物は家の中に置けば棟の木や庇(ひさし)にまでいっぱいとなり、家の外に出せば、牛や馬に汗をかかせるほどである。」という日本語に訳されます。
たくさん出回った書籍の数を表現した言葉であることがわかりますね。
このことから多くの書籍を表現した四字熟語になりました。
「汗牛充棟」の英語・類義語
それでは「汗牛充棟」の英語、類義語にはどのようなものがあるのかみていきましょう。
「汗牛充棟」の英語表記
「汗牛充棟」の英語には以下のようなものがあります。
- (having , there being)a great number of books
- There are so many collection books
【例文】
- Uncle of the room was surprised a great number of books.(おじさんの部屋は汗牛充棟で驚いた。)
「a great number of books 」は「大量の本」という日本語訳になります。「汗牛充棟」は古代中国の書物が由来ですので、英語での直訳はできません。「大量の本」と表現することで「汗牛充棟」の意味として成り立ちます。
「汗牛充棟」の類義語
次に「汗牛充棟」の類義語にはどのようなものがあるのかみていきましょう。
- 載積浩瀚(さいせきこうかん)
- 擁書万巻(ようしょばんかん)
どの類義語も読み方の難しい四字熟語ですね。
「載積浩瀚」の「浩瀚」をなんと読むのかさえ考えてしまうのですが、「浩瀚」とは「巻数が多い」という意味なので「大量の本」という意味で類義語と言えるでしょう。
「汗牛充棟」の使い方
それでは「汗牛充棟」の使い方を例文を用いてみていきましょう。
【例文】
- 「父はいつも買ってきた本を積み上げるので部屋は汗牛充棟となっている。」
- 「この図書館の汗牛充棟なところが気に入って通っています。」
- 「書斎においてある汗牛充棟の書物は、夏休みに片付けます。」
- 「医者を目指している彼の部屋は医学書が汗牛充棟に置いてあった。」
- 「久しぶりに古本屋さんへ行くと、置くには古書や貴重本が汗牛充棟にあり、時間を忘れてみていた。」
すっきりと片付いた部屋を好む人がほとんどでしょう。しかし「汗牛充棟」な環境に落ち着きを感じ、また古きよき時代の書籍に浸る楽しさはわからなくもないことが例文から理解できます。
こちらも「汗牛充棟」のように由来が面白い四字熟語です。
本来の意味が時代を経て変化していく言葉の深さ
ここまで「汗牛充棟」について解説してきました。
もともとは、柳宗元が孔子の意に反した書籍が世の中にたくさん出回ったことを嘆いたことが始まりです。それだけの偽物が出るのですから「汗牛充棟」という言葉はマイナスなイメージが始まりだったことがわかりますね。
しかし長い年月をかけて、言葉の意味も変化していくのです。だから言葉は面白く深く掘り下げて理解することで、正しい使い方を覚えていくのでしょう。
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