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あなたは、「五里霧中」という言葉をご存じですか?
ビジネスシーンや、日常生活でも時々耳にする言葉なのではないでしょうか。
先日、強豪サッカーチームの成績が珍しく低迷している記事で「五里霧中、只中の~」と書かれていました。
そのチームが何をしても勝てない、暗中模索している状況を表現していました。
実際はどのような意味で、どのように使うのでしょうか。
この記事では、「五里霧中」の意味と由来、英語表現と類義語、例文による使い方をご紹介します。
「五里霧中」の意味と由来
「五里霧中」の意味
最初に、「五里霧中」の意味をご紹介します。
まず読み方ですが、「五里霧中」は「ごりむちゅう」と読みます。漢検4級レベルの四字熟語になります。
「五里霧中」とは、「現在の状態がわからず、見通しや方針の全く立たないことのたとえ。心が迷って考えの定まらないこと」という意味です。
まさに漢字の通り、霧に閉ざされたような状態のことで、にっちもさっちもいかない様子を表す言葉です。
「五里霧中」の由来
続いて、「五里霧中」の由来(語源)をご紹介します。
まずは「五里霧中」を二語に分けて、解説していきます。
「五里」とは「距離」を表します。「里」が単位になります(当時の時代では1里=約400m)。
「霧中」は「霧の中にあるように何も見えない状態」を表します。
次に、「五里霧中」の由来です。
「五里霧中」は、中国漢書が由来の故事成語です。
「張楷(ちょうかい)、字は公超。・・・性道術を好み、能(よ)く五里の霧を作(な)す。」
訳しながら説明していきますと、「中国の後漢の時代に張楷という者がいて、彼は生まれつき道術を好み、五里四方に霧をおこすことができた。」
この道術に例えて、現在の「五里霧中」の意味になりました。
張楷は人と会うことを好まなかったそうで、世間から身を隠すためにしばしばその術を使ったとの記述もあります。
「五里霧中」の英語表現と類義語
「五里霧中」の英語表現
次に、「五里霧中」の英語表現をご紹介します。
- to lose one’s bearings(五里霧中に迷う)
- I am in a fog(五里霧中の状態)
【例文】
- I am in a fog about what to do after this. (今後どうしていいのか、五里霧中の状態だ)
- grope in a fog searching for a solution (打開策が見つからず、五里霧中だ)
「to lose one’s bearings」で、「五里霧中に迷う」という「~に迷う」とセットになります。
「fog」が「霧」になるので、「I am in the fog」で「霧にいる状態」を表しています。
「手探り」という意味の「grope」を使い、「霧のなか、手探りで探している」という表現をしています。
四字熟語の英語表現を、ビジネス場面別でまとめてみました。
ビジネス英語として実践で使える四字熟語30選【英語勉強アプリもご紹介】
「五里霧中」の類義語
それでは、「五里霧中」の類義語をご紹介します。
- 曖昧模糊(あいまいもこ)
- 有耶無耶(うやむや)
- 多岐亡羊(たきぼうよう)
- 空空漠漠(くうくうばくばく)
「曖昧模糊」は、「はっきりしないで、ぼんやりしている様子」という意味です。
「有耶無耶」は、「あるのかないのかはっきりしないこと。曖昧なこと」という意味です。
「多岐亡羊」は、「方針が色々あって、どうしていいか迷うこと」という意味です。
「空空漠漠」は、「広くて、とりとめのない様子」という意味です。
全てはっきりしない様子を表す四字熟語になります。
「五里霧中」は霧で表現していますが類義語をみると、ぼんやりしている様子は色々な表現ができますね。
「曖昧模糊」「有耶無耶」「多岐亡羊」については、こちらの記事に詳しく書いています。
「曖昧模糊」とはどんな意味?読み方や使い方の例文【英語・類語表現】
「有耶無耶」の意味や語源、使い方の例文をご紹介!英語や類語表現は?
「多岐亡羊」とは?意味と語源、使い方の例文【類義語と英語表現】
この他にも、ご存じの方も多い「暗中模索」や「試行錯誤」についても、『迷っている状態』を表す四字熟語で有名ですね。
「暗中模索」「試行錯誤」は、こちらの記事をご覧ください。
「暗中模索」とは?意味や由来、例文による使い方【英語&類義語】
「試行錯誤」とは?意味や使い方の例文、類義語&英語で言い換えるとどうなる?
「五里霧中」の使い方
最後に、「五里霧中」の使い方について例文をご紹介していきます。
【例文】
- 「初心者の私には、何からどう初めていいのか五里霧中の状態だ」
- 「調子が落ちてきた彼らは、五里霧中で解決策を探している」
- 「全ての容疑者にアリバイがあるため、捜査は再度五里霧中になってしまった」
- 「業績が上がらず、その会社は五里霧中で困り果てている」
- 「級が上がると勉強の仕方を変えなくてはいけなく、いま僕はまさに五里霧中だ」
「五里霧中」は、解決法が見つけられず困っている様子を表現するのにピッタリな言葉です。
個人としても、会社やチーム等の複数人でも広い範囲で使います。
「五里霧中だ」「五里霧中の状態」というような形で使うことが多いです。
まとめ:「五里霧中」は〇〇の時に使う四字熟語
以上、「五里霧中」についてご紹介してきました。
まとめると、以下の通りです。
読み方 | ごりむちゅう |
意味 | 現在の状態がわからず、見通しや方針の全く立たないことのたとえ。心が迷って考えの定まらないこと。 |
由来(語源) | 「張楷(ちょうかい)、字は公超。・・・性道術を好み、能(よ)く五里の霧を作(な)す。」=「中国の後漢の時代に張楷という者がいて、彼は生まれつき道術を好み、五里四方に霧をおこすことができた。」という、中国漢書が由来の故事成語 |
英語表現 | ・to lose one’s bearings(五里霧中に迷う) ・I am in a fog(霧にいる状態) |
類義語 | ・曖昧模糊(あいまいもこ) ・有耶無耶(うやむや) ・多岐亡羊(たきぼうよう) ・空空漠漠(くうくうばくばく) |
手探りで頑張って探している様子というよりは、どちらかというと方法がわからなく困り果てている時に最適な言葉になります。
例えるならば、手探り状態で言えば行動しているが何が正解かわからないのに対して、「五里霧中」の場合はその手前の考えもつかない状態と思えば理解できるでしょう。
是非、「五里霧中」という言葉を覚えておいてください。
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